第51章 ワダツミの子<参>
「彼女の存在が我々にとって大きな力になることは確実。しかし、ワダツミの子は始まりの剣士たちのこと以上に謎が多い。青い髪の女性であり、かつて彼らと共に鬼と相まみえ無惨さえ恐れさせたということ以外は、ほとんどわかっていないことが多いんだ汐。現に、今のワダツミの子である汐自身も、自分の力を理解していなかったからね」
そのことは彼らも知らなかったらしく、表情がわずかに変わる。鬼舞辻無惨を追い詰めた始まりの剣士たちと共にあり、恐れさせたその時代のワダツミの子。
そのような戦力があれば、無惨を倒せることも夢ではなくなるかもしれない。
「天元」
不意に耀哉が宇随の名を呼び顔を向けた。
「君に頼みがある。ワダツミの子と、【大海原家】について調べてきてほしいんだ。別の任務の最中で申し訳ないけれど、引き受けてくれるかな?」
「御意」
宇随はそう言って頭を下げ、そんな彼を見て耀哉は安心した表情を浮かべた。
「私の剣士(こども)達。皆の活躍を期待しているよ」
その言葉を最後に、柱合会議は幕を閉じた。