第49章 ワダツミの子<壱>
「君が来るのを待っていたよ。青髪の少女、ワダツミの子」
耀哉の言葉が風に乗り、不思議な響きを伴い皆の耳に入る。
しばしの沈黙が続いた後、それを破るように不死川が口を開いた。
「・・・お館様。大変申し上げにくいのですが、今なんとおっしゃいましたか?」
「ん?青髪の少女、ワダツミの子って言ったつもりだけれど。何かおかしかったかな?」
不死川の言葉に耀哉はゆったりした声で返すと、にっこりとほほ笑んで見せた。そんな彼を見て不死川は目を剥き汐を凝視する。
それから再び沈黙が流れた後・・・
「女ァ!?」
不死川の驚きの声が空気を切り裂きあたりに響いた。しかし驚いたのは不死川だけではなかった。
煉獄は「なんと、少年ではなく少女だったとは!よもやよもやだ!!」と叫び、伊黒はなぜか甘露寺と汐を見比べながら目を見開き、冨岡に至っては口をあんぐりと開けたまま汐を凝視する始末だ。
(時透は特に気にするそぶりもなかった)
そんな彼らを、しのぶ、甘露寺、宇随、悲鳴嶼は信じられないという表情で見ていた。
汐は一部の柱達にまで性別を間違われていたことに身を震わせながら、心の中で思い切り叫んだ。
(男と女の区別もつかないなら、柱なんてやめちまええええ!!!!)
再び騒がしくなる柱達を見て、耀哉は耀哉は人差し指を唇に押し当て全員を黙らせるのであった。