第48章 柱合裁判<肆>
禰豆子は荒い息を吐きながら、血の滴る不死川の腕を睨みつけている。
「どうした鬼ィ。来いよォ。欲しいだろォ?」
不死川は挑発的な言葉を発し、禰豆子の理性を崩そうとしている。そんな光景を見ていられなくて汐と炭治郎は必死の抵抗を試みた。
しかし伊黒が肘に力を込め、炭治郎の動きを封じる。苦しげに呻く炭治郎に、汐は何もできないもどかしさと苛立たしさでさらに轡を噛んだ。
「伊黒さん、強く抑えすぎです。少し緩めてください」
見かねたしのぶが促すも、伊黒は「動こうとするから抑えているだけだが?」と答えるだけでその申し出を却下する。
炭治郎はなんとか拘束を解こうと必死で呼吸を整えようとした。
「竈門君。肺を圧迫されてる状態で呼吸を使うと、血管が破裂しますよ」
しのぶの言葉に汐は青ざめ、掴まれた手を外そうと必死で身をよじる。
宇随は「いいな!響き派手で!!よしいけ、破裂しろ!」と高らかに叫び甘露寺を引かせ、悲鳴嶼は涙を流しながら「可哀想に・・・何と弱く哀れな子供。南無阿弥陀仏」と何故か念仏を唱えた。
「フゥ、フゥ、フゥ・・・」
禰豆子血が流れるほど拳をきつく握りしめ、湧き上がってくる衝動に必死にで耐えながら不死川を睨みつけていた。
一方炭治郎も禰豆子の下へ行かんとうなり声を上げた、その時。炭治郎は荒縄を引き千切り、一瞬拘束が緩んだすきに義勇が伊黒の腕をつかむ。
そのまま炭治郎は伊黒を振り切り、禰豆子の下へ走り出した。