第47章 柱合裁判<参>
「鬼舞辻はね、二人に向けて追っ手を放ってるんだよ。その理由は、汐はともかく炭治郎の方は単なる口封じかも知れないが、私は初めて鬼舞辻が見せた尻尾を掴んで離したくない。恐らくは禰豆子にも、鬼舞辻にとって【予想外の何か】が起きているのだと思うんだ。わかってくれるかな?」
皆口をつぐんだまま何も答えない。否、答えることができなかった。ただ、一人を除いては。
「分かりません、お館様。人間ならば生かしておいてもいいが、鬼は駄目です。これまで俺達鬼殺隊がどれだけの思いで戦い、どれだけの者が犠牲となったか・・・!承知できない!」
血が流れだすほど唇をかみしめながら、不死川は震える声で言い放った。そして突然刀を抜き放つと、その刃を自らの左腕に滑らせた。
傷口から鮮血があふれ、白い砂利を赤く染めてゆく。
(え?え?なにしてるのなにしてるの?お庭が汚れるじゃない!)
その行動に甘露寺も困惑した表情を浮かべる中、不死川は血に塗れた腕を掲げながら言い放った。
「お館様・・・!!証明しますよ俺が、鬼という物の醜さを!!」
「実弥・・・」
耀哉の次の言葉を待たずに、不死川は箱を踏みつけるとその上に自分の血を垂らし始めた。