第47章 柱合裁判<参>
「さっきから聞いてりゃ勝手なことばかり言いやがって!!柱ってのは人の話もまともに聞くことができないくらい、脳みそ凝り固まった連中ばかりか!!目の前の微かな可能性を信じる度胸もない奴が、柱なんざ偉そうに名乗ってんじゃねぇよ!!いつもそうだ!お前らは自分とは異なる者を決して認めようとしない!!お前らも、【あいつら】も。自分と異なる存在が、自分が信じてきたものを否定されるのが何よりも恐ろしいからだ!!だから排除しようとする!!傷つけられている者、それに連なる者の痛みを決して理解しようともしない!!そうでなければ、私は!!私はアア!!」
冷たくなった体に血が急激に上り、眩暈と吐き気がする。だがそれでも、膨れ上がった怒りと憎しみは止まらず、それが絶望と殺意に変わっていく。
――嗚呼、もうたくさんだ。もうこれ以上、こんな思いをしたくない・・・
乱れた息が不意にぴたりと止まると、汐はゆっくりと顔を上げた。その顔を見た瞬間。不死川は思わず息をのんだ。
汐の眼には光は全く宿っておらず、そこにはただ目の前のものをひたすら殺したいという純粋な殺意だけが宿っていた。
そんな彼女の左目から一筋の涙がこぼれ、それが頬に付着していた禰豆子の血と混ざり赤い雫となり零れ落ちた。
そしてその口角は微かに上がり、心なしか笑っているようにも見えた。
――もういい。全部どうでもいい。私の大事なものをこれ以上奪うというのならば・・・・
し ね