第47章 柱合裁判<参>
視界が真紅に染まる寸前、不思議な光景を見た。
人に似たものが、目の前にうずくまる塊に向かって何かを叫びながら、手に持っている鉄の塊を振り下ろしていた。
【それ】らが何を言っているのかはわからなかったが、きっと耳をふさぎたくなるようなひどい言葉だろうと思った。優しい言葉をかけながら何かを叩くことなど、めったにないだろうから。
【それ】らが鉄の塊を振り下ろすたびに赤いものが飛び散る。そしてうずくまる塊は、何も言葉を発することなくただひたすら理不尽な雨に耐えていた。
けれど、彼女にはわかった。その塊の殺意と絶望が、振り下ろされるたびに大きくなっていくことに。