第46章 柱合会議<弐>
水の流れる音と鳥のさえずる声が辺りを満たし、藤の花の香りが鼻をかすめる中。
「おい、起きろ・・・。起きるんだ」
暗闇の中から誰かの呼ぶ声がするが、炭治郎は眼を固く閉じたまま動かない。
「起き・・・オイ。オイこら。やいてめえ。やい!!いつまで寝てるんださっさと起きろ!!」
そんな炭治郎に痺れを切らした隠は、思い切り怒鳴りつける。その声で炭治郎ははっと目を覚ました。
両腕を荒縄で縛られたまま、砂利の上に横たわっている。
炭治郎の眼に飛び込んできたのは、色とりどりの羽織や髪色をした、身長も年齢もバラバラな6人の男女だった。
皆横たわる炭治郎を見下ろすようにして立っていた。
「なんだぁ?鬼を連れた鬼殺隊員つうから派手な奴を期待したんだが・・・地味な野郎だなオイ」
6人の中で二番目に背が高く、派手目の化粧をした男が少し残念そうな声色で言うと、一番背の高い男は黙ったまま手にした数珠をかき鳴らした。
「うむ!これからこの少年達の裁判を行うと!なるほど!!」
それに続いて言葉を発したのは、黄色と赤の髪が印象に残る三番目に背が高い男。
(鬼になった妹をずっと庇っていたなんて・・・素敵な兄妹愛!健気だわ~!)
桃色と緑色の髪をした女はうっとりとした表情で炭治郎を眺めながら、頬を淡く染めて、一番若い男はぼんやりと空を見上げていた。
「なんだ・・・このひ・・・」
炭治郎が言葉を紡ごうとしたとき、隠はそれを制止させるように彼の頭を抑えた。