第45章 柱合裁判<壱>
一方。伝令を受けた隠達は、森の中でうずくまるようにしている汐の姿を見つけた。
「赤い鉢巻に青の髪。間違いない」
隠の一人が汐に近寄り、彼女の青髪と鉢巻きを確認する。
「少女って言ってたけど、こいつ本当に女か?どう見ても男にしか見えんが・・・」
「それよりこいつの左手。かなり腫れているうえに内出血までしてるぞ。こりゃあ絶対に骨が砕けてるな」
もう一人の隠がそう言って汐の手の手当てをしようとした、その瞬間だった。
突然、汐の右手が素早く動き、隠の頸を掴んで締め上げたのだ。
「ぐっ!!?」
「なっ!?お、おい!!何をしてる!!」
もう一人の隠が慌ててその手を離そうと試みるが、汐の手はいくら力を振り絞っても微動だにしなかった。
「な、なんだこいつ!?びくともしねえ!?子供の、女の力じゃねえ!?」
異変に気付いた他の隠も、慌てて駆け寄り引きはがしにかかるが、4人がかりでも汐の右手の拘束を解くことはできなかった。
「ば・・・ばけ・・・・もの・・・・」
掴まれている隠が途切れ途切れに言葉を繋いだ時、汐の体がびくりと大きく跳ねた。そして掴んでいた手をそっと離すと、そのままだらりと腕を地面に投げ出した。
掴まれていた隠がせき込み息を整えている間、他の隠達は警戒しながらも汐の体を拘束する。荒縄で縛り付けた後金属の拘束具を付けた。
他の場所で見つかった炭治郎や禰豆子、そして義勇によって縛り付けられていた伊之助も回収され、皆山を下りて行った。
太陽の光が降り注ぎ、長い長い夜が終わったことを静かに告げた。