第45章 柱合裁判<壱>
時間は少しだけさかのぼり
意識を失っていた善逸は、ふと目を覚ました。すると自分の全身は布状のものでぐるぐる巻きにされており、【治療済み】と書かれた札が貼ってある。
周りを見渡せば、鬼の毒で蜘蛛にされていた人々も彼同様の姿になっていた。
そして目の前では顔を隠した隊服と似たものを着た集団と、白い羽織を纏った少女の剣士がてきぱきと作業をしている。
善逸はその少女に見覚えがあった。最終選別の時にいた少女だ。髪には善逸達を治療していた女性剣士と似た飾りをつけている。
「こちらも蝶屋敷へ?」
顔を隠した男がそういうと、少女は頷く。
「怪我人は皆うちへ。付近の鬼は私が狩るから安心して作業して」
そういうと少女剣士は森の中へと消えていった。
(そういえば昔聞いたことがあった。事後処理部隊【隠(かくし)】鬼殺隊と鬼が戦った後の始末をする部隊)
彼等は皆、剣技の才に恵まれなかった者たちがほとんどだという。決して鬼殺の剣士だけが、鬼殺隊を支えているわけではなかったのだ。
そんな彼らが、森で縛られた伊之助を見つけるのはもう少し後・・・