第44章 絆<肆>
(くそっ!くそっ!!殺す、殺す!殺す!!あの兄妹は必ず・・・殺す!!!)
頸が落ちても尚、累は殺意を込めた眼で必死に炭治郎と禰豆子を探す。そしてその視線の先には、禰豆子を守るようにして覆いかぶさる炭治郎の姿があった。
それを見た瞬間。累の心に一つの言葉がよみがえった。
――累は、何がしたいの?
それはかつて、自分が【母】として強要させていた鬼の言葉。その言葉にかつての彼は答えることができなかった。
人間の頃の記憶がなかったから。本物の家族の絆に触れれば、記憶が戻ると思ったからだ。自分の欲しいものが分かると思ったからだ。
「禰豆子・・・!」
炭治郎が小さく妹の名を呼ぶ。それはそこに確かにある、家族の愛のこもった声。
――そうだ。僕は、俺は・・・
累の脳裏に二つの人影がよみがえった。