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【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第44章 絆<肆>


燃え上がった禰豆子の炎が収まり、飛ばされた累の頸が弧を描いて地面に落ちる。それと同時に、炭治郎も燃え尽きたように倒れこんでしまった。
そして禰豆子も、糸が燃え上がったことにより拘束から解放され、吸い込まれるように地面に落ちていった。

「たん・・・っ、うっ、ゲホゲホッ!!」

炭治郎の名を呼ぼうと口を開いた瞬間、喉が焼けるような感覚を感じた汐は激しくせき込んだ。それと同時に、全身を激しい痛みが襲う。

先程無我夢中で使った【爆砕歌】の反動だろう。

何故自分がこのような力を使えたのかはわからない。ただ、このまま簡単に死んではいけない。二人が幸せに生きる為の礎にならなければという強い想いのせいか。

しかしそのおかげで汐も炭治郎も禰豆子も生きている。この事実だけは動かなかった。

(やった・・・のね・・・炭治郎、禰豆子・・・)

涙と泥で汚れた顔のまま、汐は目を細める。けれど、炭治郎も禰豆子も傷を負い動くのもやっとなはずだ。

累を倒したとはいえ、他にまだこの山には鬼がいる。早く二人と共にこの場を去らなければ――

「・・・!!」

汐は呼吸を整え、痛みを緩和しようと試みた。だが、先ほどの爆砕歌の反動が強すぎたせいか、息がうまくできない。

しかしそれでも汐は必死に息をしようとする。早く立って、動いて、二人を守らなければ。そして、残してきた伊之助や善逸を助けに行かなければ・・・

まだ鬼の気配はする。だから早く・・・

――え?

そこまで感じた汐は思わず息をのんだ。ここに感じる鬼の気配は、大きいのは一つ。それ以外は感じない。だが、この大きい気配は最初にここに来た時に感じたものと同じ。

――累の気配が消えていない
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