第43章 絆<参>
禰豆子は眼を見開いた。体が熱く、力が漲るのを感じた。
禰豆子の視線の先に、今まさに相打ちになりそうな兄の姿がある。
――血鬼術――
糸に付着した禰豆子の血が、彼女の心の声に応じて発光する。
――爆血!!
禰豆子が手を握った瞬間、血が大きく燃え上がり炭治郎に迫っていた糸を焼き切った。
その凄まじい炎の壁が、炭治郎と累を両断する。
汐はその炎から禰豆子の気配を感じた。禰豆子の強い意志が、炭治郎の命を救ったのだ。
(嗚呼、やっぱりあんたたちはすごいわ・・・)
汐は流れ出す涙をそのままにしながら思った。これこそが本当の家族の絆。自分にはもう手に入ることのないもの。
けれど、せめて、せめて二人の幸せを遠くから見守ることができるなら。見届けることができるなら。
二人の幸せを、願うことができるなら!!
「行けェェェッッ!!炭治郎ォォォッ!!!!!」