第43章 絆<参>
――ヒノカミ神楽――
――円舞!!
炭治郎が汐の後方から飛び出し、彼女に迫る糸を断ち切った。生生流転じゃないことに驚いた汐の横を炭治郎が飛ぶように駆けてゆく。
その眼には燃え盛る炎のような、強い決意と覚悟が宿っていた。
(糸が・・・!)
累は体が再生しきっていない不完全なままでも、炭治郎に向かって糸を伸ばす。その糸が炭治郎の体を何度か穿つが、彼の足は止まらない。
(止まるな、走り続けろ!今止まればヒノカミ神楽の呼吸の反動が来る!そして何より、汐が命を懸けて作ってくれた道が無駄になってしまう!)
――だから走れ!!二人を守るんだ!!
炭治郎はそのまま累に向かって刀を振るい続ける。その勢いは、まるで燃え盛る炎を身に纏う、舞う神のようだった。
その雄々しい姿を見て、汐の両目から涙がとめどなくあふれ出す。溢れて溢れて、炭治郎の姿が見えなくなるほどだった。
炭治郎が累の間合いに入った瞬間、彼の首筋に【隙の糸】が見えた。
(見えた!隙の糸!!今ここで倒すんだ!たとえ相打ちになっても!この命に代えても!!)
炭治郎の刀が、再生しかかっている累の傷口に迫る。だが、それと同時に、片腕に繋がれていた血の色の糸も炭治郎に迫っていた。