第40章 蜘蛛の棲む山<肆>
――水の呼吸――
――弐ノ型 水車!!
炭治郎は空中から技を放ち、その刃を巨大な鬼の腕に食い込ませる。だが、その刃は腕に軽くめり込んだだけで止まり、全く動かなかった。
(刃が、通らない!!)
動きを止められた炭治郎に、鬼のもう一本の腕が迫る。しかしその腕を三本の刃が穿った。
汐と伊之助が刀を食い込ませ、その一撃を阻止した。しかしその腕の硬さは二人がかりでも斬ることはかなわず、鎬がギリギリと音を立てる。
(何なのよこいつの腕・・・硬すぎる!)
汐が悔し気に顔をゆがませると、鬼は咆哮を上げて三人を思い切り振り払った。汐と炭治郎はそれぞれ、川から出ている岩の上に着地する。
(炭治郎が型を使っても斬れないなんて・・・。もしかしてこいつが十二鬼月!?)
だとしたら状況が悪すぎる。汐と炭治郎はともかく、伊之助は先ほどの戦いで傷を負っている。とてもじゃないが、まともにやりあって勝てるとは思えなかった。
――どうすればいい?
考える暇もなく、巨大な鬼は汐と炭治郎に向かって拳を振り上げる。二人はその一撃を寸前でかわし、汐は別の岩へ、炭治郎は岸へと飛びのいた。