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【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第39章 蜘蛛の棲む山<参>


「俺と汐は向こうに行ってみようと思う。だから伊之助は下山するんだ」
「は?」

伊之助は言っている意味が分からないと言わんばかりに炭治郎に詰め寄った。

「山、下りて」
「はあ!?なんでだよ!死ねよ!!」
「死ねよってあんたが今死にそうなんだけど!?自分の体見てから言いなさいよ」

困惑する炭治郎に汐が助け船を出すと、伊之助は声を荒げながら「俺は怪我してねえ!」と言った。

一瞬時間が止まったかと思うほどの沈黙の後。

「えぇ!?」
「あ、あんた・・・ついに頭までおかしくなったの!?」

炭治郎は呆然とし、汐は思わず辛辣な言葉を吐きだした。そんな二人に伊之助はさらに憤慨し、声を荒げた。その時だった。

不意に足音が聞こえ、三人が視線を向けると川の向こう岸に白い着物を着た少女が現れた。先ほどの少年と似た風貌をしている。
だが、彼女の気配は紛れもなく鬼の者であった。

(鬼!?山全体の鬼の気配のせいでわからなかったっ!)

「っしゃああ!!ぶった斬ってやるぜ鬼コラ!」

伊之助は高らかに宣言すると、少女の鬼はくるりと踵を返して森の中に逃げ込もうとした。
そのあとを追おうとする伊之助。すると少女の鬼は振り返り、大声で叫んだ。

「お父さん!!」

その声が届いた瞬間、伊之助の上空に巨大な影が出現した。影はその両腕を振り上げ、伊之助を叩きつぶそうとする。
伊之助は寸前でそれをかわすと、汐と炭治郎のそばに降り立った。

上から降りてきた襲撃者は、顔を上げてその全貌を晒す。先ほどの少年の鬼や少女の鬼と同じく真っ白い髪をしている。
しかしその顔は明らかに人間のものではなく、七つの目が付いた顔に鋭い牙をした醜悪なものであった。

その迫力に、全員の顔が青ざめ体が硬直する。

「オ゛レの家族に゛、近づくな゛!!」

巨大な鬼はすさまじい力で伊之助のいた部分を殴りつけた。衝撃波が発生し、川底が砕け水しぶきと瓦礫が舞った。
伊之助はそのまま吹き飛ばされ、その隙を狙って鬼が拳を突き出す。その伊之助を救わんと、炭治郎が動いた。
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