第38章 蜘蛛の棲む山<弐>
時は少しさかのぼり。
どこかにある産屋敷邸にもその情報は届いていた。状況を告げた鎹鴉は、酷く疲弊し息を荒げている。
そんな彼(?)の頭を、当主耀哉は優しくなでた。
「よく頑張って戻ったね」
しかしその声は悲しみを宿し、嘆く様に言葉をつづけた。
「私の|剣士《こども》達はほとんどやられてしまったのか。そこには十二鬼月がいるのかもしれない。【柱】を行かせなければならない様だ」
――義勇。
――しのぶ。
彼の背後には冨岡義勇ともう一人、不思議な笑みを浮かべや女性が彼の隣に静かに座っていた。
「「御意」」
二人の声が綺麗に重なった後、しのぶがゆっくりと口を開いた。
「人も鬼もみな仲よくすればいいのに。冨岡さんもそう思いません?」
「無理な話だ。鬼が人を食らう限りは」
そんな彼女に、義勇は淡々と答えたのだった。