第37章 蜘蛛の棲む山<壱>
(蜘蛛!こいつらが糸をつないでいたのね!)
汐は隣にいた炭治郎を見ると、彼も同じく蜘蛛に糸を繋がれそうになっていた。そして先ほど糸を切って解放した隊士たちも、再び糸につられ立ち上がっていた。
「汐、伊之助!糸を切るだけじゃだめだ!蜘蛛が操り糸をつなぐ。だから・・・!」
そこまで言いかけた炭治郎が再び苦し気に鼻を抑えた。その足元に再び蜘蛛が迫る。
「危ない!」
汐はすぐさま駆け寄り、二匹の蜘蛛を踏み潰した。
「じゃあ蜘蛛を皆殺しにすればいいんだな!?」
「そんなの無理よ!蜘蛛は小さいし多分何匹もいる。本体を叩かないと意味がない!でも、あたしも炭治郎も今のままじゃそれができないのよ!」
「伊之助。もし君が鬼の位置を正確に探る何らかの力を持っているなら、協力してくれ!」
襲い来る隊士たちの攻撃をかわし、炭治郎が必死に口を動かす。
「それから、えっと」
「む、村田だ!」
「操られている人は俺と汐と村田さんで何とかする。伊之助は・・・!」
炭治郎がそこまで言いかけた瞬間、汐の第六感が凄まじい気配を感じ取った。
反射的に上を向くと、炭治郎もつられて上を見る。そこにあった、否いたのは・・・
真白な肌に赤い文様。真白に蜘蛛の巣を彷彿とさせる文様が入った着物をまとった、少年だった。