• テキストサイズ

【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第34章 歪な音色(後編)<参>


「止めろそういうことするの!骨を痛めている時はやめておけ。悪化するぞ!?」
「いや、気にするところそこじゃないし、そもそも骨折ったの炭治郎だし」
「っていうか何これ。なんであたしたちいちいち突っ込んでるの?」

炭治郎の言葉に猪男は臆することもなく、再び炭治郎へと向かってくる。

「今この刹那の愉悦に勝るものなし!!」
「将来のこともちゃんと考えろ!!」

このままじゃ埒が明かないと感じた炭治郎は、相手の攻撃を受け流した後その肩を両手でつかんだ。

「ちょっと、落ち着けェ!!」

そしてそのまま渾身の力を込めた頭突きを、猪男の頭にお見舞いした。

それを見た善逸は悲鳴を上げ、汐は「終わったわね、あいつ」と呟き冷めた目で見た。

猪男はうめき声をあげて数歩後ずさる。すると、かぶっていた猪の皮がずるりと滑りそのまま地面に落ちた。
その晒された素顔に、全員の視線が集まる。その刹那。

「え!?女!?か、顔・・・!?」

善逸が髪の毛を逆立てて大声で叫び、汐は呆然とその顔を見ている。
無理もない。猪の皮の下には、少女と見間違うような整った顔があったからだ。

「なんだァ?こら。俺の顔に文句でもあるのか?」
猪男はそう言って全員をぐるりと見まわす。頭突きをされたせいか額からは血が流れ出ているものの、それよりも皆は彼の顔にくぎ付けになりあまり気にならなかったようだ。

少女のような顔立ちに鍛え上げられた身体の不釣り合いに善逸は顔をしかめ、汐は自分よりも整った顔立ちの彼に複雑な感情を抱いた。

「君の顔に文句はない!こじんまりしていて色白で、いいんじゃないかと思う!!」
「殺すぞてめぇ!かかって来い!!」
「だめだ。もうかかっていかない」
「もう一発頭突いてみろ!」
「もうしない!君はちょっと座れ。大丈夫か!?」

まるで漫才のような二人の雰囲気に汐達が呆れ始めたころ、少年は炭治郎を見据え自信に満ち似た声で言った。
/ 1491ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp