第33章 歪な音色(後編)<弐>
汐の手当てが終わった後、炭治郎が清を背負い、汐がてる子を連れていくことになった。汐は血にまみれた自分ではてる子が怖がると思い少し戸惑ったが、彼女の手をてる子が自ら握ったため杞憂に終わった。
鬼の血鬼術が解除されたのか、間取りは普通に戻っていた。もう部屋が変わることも動くこともない。階段を降りて玄関に向かう途中、炭治郎の鼻が反応した。
「血の匂いだ」
「え!?まさかまた犠牲者が・・・!?」
二人の顔に瞬時に緊張が走り、足を速める。階段を駆け下りるとそこには吹き飛び破壊された玄関があった。
そしてその奥には――
――血に塗れながらも箱を抱えて蹲る善逸と、そんな彼に刀を向け罵倒する猪男の姿があった。