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【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第28章 歪な音色(前編)<壱>


「女に騙されて借金したんだよ!!借金を肩代わりしてくれたジジィが育手だったの!!毎日毎日地獄の鍛錬だよ。死んだほうがマシなくらいの!!最終選別で死ねると思ったのにさ。運良く生き残るからいまだに地獄の日々だぜ!!!ああー、怖い怖い怖い怖い!!きっともうすぐ鬼に喰われて死ぬんだ!生きたまま耳から脳髄を吸われてえええ!!!イィヤァアアーーッ!いやぁあああ!!助けてええええ!!!」

涙を流し、声が枯れそうなほど叫び、体をそらしたりのたうち回ったりと、駄々っ子でもやらないような行動を善逸はとる。
二人はその姿に呆れかえり、どうすればいいか顔を見合わせた。

「と、とにかく落ち着かせない?聞いてるこっちも疲れるし」
「そ、そうだな。大丈夫か?」
座り込む善逸に、汐と炭治郎は目線を合わせて同じようにしゃがむ。炭治郎が背中をさすってあげると、善逸は少し落ち着いたようだ。

「とりあえず水でも飲んだら?あれだけ叫べば喉も乾くでしょ」

汐はそう言って腰につけていた水筒を出すと、口の部分を布で拭いて善逸に渡す。彼は「ありがとう」と言ってから汐の目を覗き込んだ。

(うーん。眼を見る限りそんな弱虫クズ野郎には見えないんだけどなあ。こういう奴って案外自分の実力に気づかない子のが多い傾向だけど・・・ん?)

善逸の眼を観察していた汐だが、不意に彼がじっと視線を外さないまま自分を見ていることに気が付く。その瞳が数回揺らいだ後善逸は不意に目を伏せ震えだした。

「ぜ、善逸?」

汐が恐る恐る声をかけると、善逸は汐と炭治郎を交互に見る。そして一瞬黙っていたかと思うと、火が付いたように叫びだした。
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