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【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第27章 襲撃<肆>


「私たちはこの土地を去ります。鬼舞辻に近づきすぎました。早く身を隠さなければ危険な状況です」
珠世の話では、医者として人と関わると鬼だと気づかれることもある。特に子供や年配者は勘が鋭いとのこと。

「炭治郎さん。禰豆子さんは私たちがお預かりしましょうか?」
「「え!?」」
炭治郎と愈史郎が同時に声を上げる。
「絶対に安全とは言い切れませんが、戦いの場に連れていくには危険が少ないかと」
珠世の提案に、背後では愈史郎が心底いやそうな顔で首を振る。炭治郎も、そのほうが禰豆子にとっては安全である可能性が高い。そう思っていると。

禰豆子が炭治郎の手をそっと握った。思わず顔を上げると、禰豆子の真剣な目が炭治郎を射抜く。

(そうか、そうだよな)

炭治郎は一瞬だけ微笑むと、禰豆子の手を握り返す。そして凛とした表情で珠世と向き合った。

「珠世さん、お気遣いありがとうございます。でも、俺たちは一緒に行きます。離れ離れにはなりません。もう、二度と」
炭治郎の言葉にも表情にも、一切の迷いはなかった。それを見た珠世は納得したようにうなずいた。

「で、何で汐はそんなところにいるんだ?」
炭治郎が振り返ると、階段の陰に隠れるようにしている汐の姿がそこにあった。

「あんたね、こんな空気の中に入れるわけないでしょ?少しは察しなさいよ」
「こんな空気って、どんな空気だよ。それに空気って吸うものじゃないのか?」
「もういいわよ、あんたの天然ボケは。まともに相手すると疲れるし」

頭を抱える汐を見て、炭治郎はわけがわからずぽかんとするのであった。
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