第24章 襲撃<壱>
と、その時。どこからともなく禰豆子が飛んできて、二人の頭上に落ちる。二人は受け止めきれずその場に倒れこんだ。そのあとから、矢琶羽がふわりと降りてくる。
「さあ、三人まとめて死ね!!」
朱紗丸の攻撃を、三人は地面を転がって寸前でかわす。立ち上がる土煙があたりを覆う。心なしか、威力が上がっている気がした。
「禰豆子、大丈夫か!?」
禰豆子は兄の言葉に、弱弱しくだがうなずいた。このままでは二人がやられてしまう。汐は唇をかみしめると、そっと立ち上がった。
「炭治郎。あんたはあの矢印の奴をお願いできる?あたしは毬の奴をやるわ。どっちにしろ、あたしたちの刀じゃないと、鬼は殺せない。妥当でしょ?」
「確かにそうだ。だけど、一人では無茶だ」
「一人ならね」
汐はそう言って壁際に立つ愈史郎を見据えた。
「ねえあんたも戦えるんでしょ?だったら協力して。このままじゃ全員あの世に叩き込まれるのは嫌でしょ!?」
汐がそういうと、愈史郎は不快そうに顔をゆがめた。
「それだけ大口をたたけるということは、やれるんだな!?」
「女に二言はないわ。必ずこいつを仕留めてやる!仲間痛めつけられて気分悪いし、やるっていうなら受けて立つわ!!」
汐の言葉に朱紗丸は大きく体をそらし笑った。それから狂気じみた視線を汐に向ける。
「青髪の娘。お前の頸を声帯ごと千切りとってやろうぞ!!」
その後ろ姿を禰豆子は見ていた。そして、傷ついた珠世と愈史郎を。彼女の目には、彼らが自分の母と弟に見えていた。
戦いは、始まった。