第158章 不滅<参>
「そんなものができるはずは・・・」
「完成したのですよ。随分状況が変わった。私の力だけでは無理でしたが」
珠世の声ははっきりとしており、嘘を言っているようには聞こえなかった。
無惨は左腕を無理やり動かし、珠世の頭を掴んだ。
「・・・お前も大概しつこい女だな、珠世。逆恨みも甚だしい」
そのまま鋭い爪を珠世の頭と目に突き刺しながら、無惨は呆れたように言った。
「お前の夫と子供を殺したのは誰だ?」
無惨の言葉に、珠世の表情が大きく歪んだ。
「私か?違うだろう。他ならぬお前自身だ。お前が喰い殺した」
「そうだ!鬼は人を殺して喰べる。決して逃れられなかった宿命だ」
珠世は見開いた両目から大粒の涙を流しながら叫んだ。
「そんなことがわかっていれば、私は鬼になどならなかった!!病で死にたくないと言ったのは!!子供が大人になるのを見届けたかったからだ・・・!!」
珠世の血を吐くような鋭い声が、炎が燃え上がる音に交じって響き渡った。
「世迷言を」
そんな珠世を、無惨は嘲笑った。
「その後も大勢人間を殺していたが、あれは私の見た幻か?楽しそうに人間を喰っていたように見えたがな」
「そうだ自暴自棄になって大勢殺した。その罪を償うためにも――」
――私はお前と、ここで死ぬ!!