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【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第158章 不滅<参>


その頃、産屋敷邸では。

「ぐっ」

燃え盛る炎の中に、うめき声を上げながら動く影が一つあった。
それは上半身の皮膚の大半が焼け爛れた、鬼舞辻無惨だった。

「産ッ屋敷ィィッ」

無惨は恨みの篭った声を上げながら、つい先ほどの事を思い出していた。

(あの男の顔!!仏のような笑みを貼りつけたまま、己と、妻と子供諸共爆薬で消し飛ばす!!)

無惨は何とか冷静さを保とうと、必死で思考を巡らせた。

(私は思い違いをしていた。産屋敷という男を人間にあてる物差しで測っていたが、あの男は完全に常軌を逸している)

無惨も人間の中に紛れて生きてきた以上、いろいろな人間を見てきた。彼に媚びるもの、憚ろうとするもの、様々だ。

しかし産屋敷輝哉という男は、そんな人間などがちっぽけに思える程だった。

(何か仕掛けてくるとは思っていた。しかしこれ程とは)

無惨は体を再生させながら、自分の身体に突き刺さっていたものを抜いた。

それは鋭い棘の付いた細かい撒菱のようなもの。殺傷力を上げ一秒でも無惨の再生を遅らせる為に、爆薬の中に仕込まれていたものだった。

無惨は気づいた。これで終わりではない。まだ何かある、と。輝哉はこの後何かをするつもりだ、と。

(人の気配が集結しつつある。おそらくは柱。だが、これではない。もっと別の何か、自分自身を囮に使ったのだ。あの腹黒は)

無惨は思い出していた。輝哉の中には無惨への怒りと憎しみが、蝮のように真っ黒な腹の中で蜷局を巻いていたことに。

(あれだけの殺意をあの若さで見事に隠しぬいたことは驚嘆に値する。が、妻と子供は承知の上だったのか?)

無惨は彼の行動に混乱しつつも冷静さを取り戻していた。いくら考えても、その本人は爆発に巻き込まれ生きてはいない。
考えるだけ無駄だった。

(動じるな、間もなく身体も再生する)

焼け爛れた皮膚は治り、砕けた骨も元通りになろうとしたとき、無惨は眼前に赤黒い何かが浮かんでいることに気づいた。
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