第158章 不滅<参>
(お館様、お館様)
実弥はわき目も振れず、無我夢中で屋敷を目指す。木々をかき分け、闇の中をひたすら走る。
どのくらいは知っただろうか。産屋敷邸の一部が木々の間からかすかに見えた。
(見えた!!屋敷だ!!)
屋敷には損傷は見られず、敵の気配も感じない。それを見た実弥の胸に微かに安堵が沸き上がった。
(大丈夫、間に合う。間に合っ・・・)
だが、その安堵は次の瞬間粉々に砕け散った。
突然凄まじい爆発音が響き渡り、屋敷が木っ端みじんに吹き飛んだのだ。
一番近くにいた実弥は勿論、蜜璃は真っ青な顔で頭を抱え、無一郎、伊黒、しのぶは呆然と真っ赤に燃え上がる産屋敷邸を呆然と見つめていた。
その光景は汐達の目にもしっかりと焼き付いていた。
(爆薬・・・!!大量の・・・!!)
炭治郎のよく聞く鼻はそのほかの匂いもとらえていた。
(血と肉の焼け付く匂い!!)
そんな中、汐はただならぬ気配を感じ身を震わせた。そして誰よりも早く屋敷に向かって走り出した。
「あっ、汐!!」
炭治郎の制止も効かず、汐は義勇の脇をすり抜け凄まじい速さで駆けてゆく。
汐は気づいていた。いや、気づいていたのは汐の中に根を張るウタカタノ花だった。
(奴が、奴がいる!!)
花の殺意が血液のように汐の身体を流れ、思考すら支配しているようだった。
(殺す、殺す!!殺せる・・・!!)
汐は氷のような殺意を纏ったまま、飛ぶように駆けるのだった。