第158章 不滅<参>
時間は遡り。
緊急の柱合会議が終わった柱達は、退室しようとする義勇を無理やり引き留めた後、悲鳴嶼の提案で今後の事を話し合っていた。
今後の事と言うのは、鬼が出現しなくなったことにより時間が取れるようになったため、柱達による大規模な一般隊士の訓練をするという話だった。
その提案に皆は賛同し、具体的な日時と内容を事細かく決めた。
やがて話し合いが終わった後、実弥が徐に手を上げた。
「お館様の事で話がある。少しいいかァ?」
皆が視線を向けると、実弥は真剣な面持ちで口を開いた。
「これからの事に備えて最低でも二人、お館様の護衛につけるべきだぜェ。何とかできねえのか、悲鳴嶼さんよォ」
「・・・無理だな・・・」
悲鳴嶼は静かに首を横に振った。
「私も十九で柱となり八年間言い続けているが、聞き入れてはくださらぬ・・・」
数珠をかき鳴らしながら、悲鳴嶼は静かに涙を流してそう言った。
「柱と言う戦力は、己一人の為に使う者ではないとの一点張り・・・、困ったものだ」
その言葉を蜜璃は、悲しげな表情で聞いていた。
「産屋敷家の歴代当主は皆、誰一人として護衛をつけなかったそうですね」
しのぶの言葉を聞いて、皆難しい顔で目を伏せていた。
何とも陰鬱な雰囲気のまま、会議は幕を閉じたのだった。