第157章 不滅<弐>
「君の夢は叶わないよ、無惨」
そう言い切る彼に一瞬だけ腹立たしさを感じるが、それもすぐに溶けるように消えた。
「禰豆子の隠し場所に随分と自信があるようだな。しかしお前と違い、私にはたっぷりと時間がある」
「君は・・・思い違いをしている」
「何だと?」
自分の言葉を悉く否定され、無惨は微かに眉を潜めながら返した。
「私は永遠が何か・・・知っている。永遠とは人の想いだ。人の想いこそが永遠であり、不滅なんだよ」
「下らぬ・・・、お前の話には辟易する」
無惨は、湧き上がってくる不快感を隠そうともせずに言い放った。
「この千年間、鬼殺隊はなくならなかった。可哀想な子供たちは大勢死んだが、決して無くならなかった」
輝哉の心を震わせる優しい声が、静かに響く。
「その事実は今、君が・・・くだらないと言った、人の想いが不滅であることを証明している」
遠くで娘たちが砂利を踏む音が聞こえた。
「大切な人の命を理不尽に奪った者を許さないという想いは永遠だ。君は誰にも許されていない。この千年間、一度も」
先程無惨が言った言葉を、輝哉は全て真っ向から否定した。
「そして君はね、無惨。何度も何度も虎の尾を踏み、龍の逆鱗に触れている。本来なら一生眠っていたはずの虎や龍を君は起こした」
輝哉の脳裏には自分を慕ってくれた柱と竈門兄妹、そして汐の姿が浮かぶ。
皆鋭い視線を、無惨に向けていた。