第157章 不滅<弐>
「代々神職の一族から妻をもらい・・・子供も死にづらくなったが・・・、それでも我が一族の誰も・・・、三十年と生きられない・・・」
「迷言もここに極まれりだな。反吐が出る。お前の病は頭にまで回るのか?そんな事柄は何の因果関係もなし」
無惨は心底軽蔑していると言った表情を浮かべながら、嘲るように言った。
「なぜなら私には何の天罰もくだっていない。何百何千という人間を殺しても私は許されている。この千年、神も仏も見たことがない」
無惨の声は自信に満ち溢れ、恐れなど微塵もないようだった。
「君は・・・、そのように物を考えるんだね・・・」
輝哉はそんな無惨を責めることもなく、咳き込みながらも言葉を紡いだ。
「だが、私には私の・・・考え方がある。無惨・・・、君の夢は何だい?」
思わぬ問いかけに、無惨は思わず口を閉じ輝哉を見据えた。
「この千年間・・・、君は一体・・・どんな夢を見ているのかな・・・」
輝哉の言葉を聞きながら、無惨は得も言われぬ奇妙なものを感じていた。
(奇妙な感覚だ・・・。あれほど目障りだった鬼殺隊の元凶を目の前にして憎しみが沸かない。むしろ)
無惨はふと輝哉から視線を逸らし、屋敷の方へと向けた。
幼い少女の歌声が、聞こえてくる。