第157章 不滅<弐>
「いや、興味がない訳じゃない。俺も様々な呼吸は知っているが、海の呼吸というものはよく知らない。名前からするに、水の呼吸からの派生なのだろうが・・・」
「違うわよ」
義勇の言葉を汐は否定し、二人は驚いたように目を見開いた。
「元々海の呼吸は、大海原家が暴走したワダツミの子を抹殺するために編み出した剣術だったらしいのよ。それがいろいろあって鬼を倒す剣術へと変わっていったの。水の呼吸と似ているのは、大海原家が使い手と仲が良かったから参考にして・・・」
「ちょっと待ってくれ。何で汐がそんなことを知っているんだ?」
炭治郎が尋ねると、汐は目を伏せながら少し悲しそうに答えた。
「話したと思うけど、"ウタカタノ花"は歴代のワダツミの子の記憶を保持している。その中に微かだけどそんな記憶があったのよ。こんなのがわかるっていう事は、いよいよ"ウタカタノ花"の浸食が進んでいるってことね・・・」
汐はそう言って胸のあたりを左手で掴んだ。一気に空気が重苦しくなり、炭治郎と義勇は口を閉ざしてしまう。
「なーんてね。んな事今のあたしには関係ないわ。さて、海の呼吸を見せてあげるからちょっとどいて」
汐は明るく笑うと、炭治郎を押しのけて広い場所へと足を進めた。
そして目を閉じ、精神を集中させてから大きく息を吸った。