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【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第156章 不滅<壱>


「おはぎの取り合いですか?」
「はぁ?」

炭治郎の言葉に汐は思わず声を上げ、実弥は更に目を鋭くさせて言った。

「ふざけてやがるなァァ・・・」
「えっ?いやいや真面目です!!不死川さん、おはぎ大好きですよね?」

炭治郎は慌てながらも、至極真面目な表情で言った。

「不死川さんから稽古つけてもらっていた時、すっとほのかに餅米とあんこの匂いしてたし、戻ってくるたび抹茶とおはぎのいい香りがしてたので・・・てっきり・・・」

実弥は言葉を発しないまま、視線を下に向けていた。
しかし汐は気づいていた。彼の身体が微かに震え、頬には汗が浮かんでいることに。

「不死川は・・・、おはぎが好きなのか・・・」

義勇が呟くと、炭治郎は空気が読めないのか早口でまくし立てた。

「おいしいですよね!おはぎ。こしあんですか?つぶあんですか?俺もお婆ちゃんのおはぎが大好きで・・・」

しかし炭治郎の言葉は、実弥の振り上げられた鉄拳によって中断された。
炭治郎の身体は空高く舞い上がり、放物線を描いて地面に落ちた。

「いい加減にしやがれ!クソガキがァ!!」

実弥は全身を沸騰しているのかと思うほど真っ赤にさせると、そのまま背を向け立ち去ろうとした。
だが、誰かに袖を掴まれ、思わず足を止めた。

「何しやがる・・・!」

実弥が振り返ると、汐が袖を千切れんばかりに掴んでいた。

「テメェェェ・・・、炭治郎に何してくれてんだぁぁぁ・・・!」

汐は恐ろしい形相で実弥を睨み付けながら、地を這うような声を発した。
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