第156章 不滅<壱>
しかし義勇はその言葉に答えることなく、静かに構えた。
――水の呼吸・肆ノ型――
――打ち潮
義勇の流れるような剣戟が実弥に向かうが、彼は軽やかな動きで身体を宙に投げ出しそれを回避した。
「遅ェんだよォォ!!」
――風の呼吸・伍ノ型――
――木枯らし颪
実弥はその体制のまま、身体を回転させて木刀を振り下ろした。
――水の呼吸・漆ノ型――
――雫波紋突き
義勇は振り向きざまに木刀を突き出し、広範囲の技に対処した。その衝撃で互いの木刀は真っ二つに折れてしまい、決闘を続けることは不可能になった。
だが、これで終わりではなかった。
「よォし、じゃあ次は素手で殺し合うかァ」
実弥は両手の骨を鳴らしながら、血走った目で義勇を睨みつけた。
「待った待った、待ったァ!!」
実弥から汐にも引けを取らない殺意を感じた炭治郎は、慌てて竹林から飛び出した。
「ちょっと待ってくださいよ。殺し合ったらいけませんよ!」
炭治郎は二人の間に入り込み、両手を広げて立ちはだかった。「うるせェんだよ、テメェはァ。そもそも接触禁止だろうがァ。先刻から盗み見しやがって、このカスがァ」
実弥は歯を剥き出しながら、腹立たし気に炭治郎を睨みつけた。
しかし炭治郎は、実弥の殺気にひるむことなく言い放った。