第156章 不滅<壱>
「あ!」
義勇の屋敷へ向かう道すがら、炭治郎は何かを思い出したように叫んだ。
「どうしたの?」
「俺、義勇さんに何の説明もしないで来ちゃったんだ!どうしよう・・・」
そう言って顔を青くする炭治郎に、汐もつられて困惑した顔をした。
その時だった。
「ソレナラゴ心配ナク~」
不意に声が聞こえて振り返ると、歩く二人に会わせてソラノタユウが飛んできた。
「冨岡義勇様ニハ、私カラ詳細ヲ伝エテ置キマシタノデ、ゴ安心クダサイ~」
「え、そうなのか?ありがとう」
炭治郎が礼を言うと、ソラノタユウは嬉しそうに鳴いた。
「あたしからも礼を言うわね。ありがとう、タユウ。それから、あんたにも心配かけちゃったわね」
「イエイエ~。私ハ当然ノ事ヲシタマデデス~。デスガ、悪イト思ウナラ、炭治郎サンヲ心配サセテハイケマセンヨ~」
「分かったわよ・・・」
汐が答えると、ソラノタユウは満足したのか空高く舞い上がった。
「話しは変わるけど、禰豆子はどうしてるのかしら?確かどこかに預けてあるのよね?」
「ああ。無惨に見つからないようにって、俺達も知らない場所にね」
そういう炭治郎の"目"は寂しげで、禰豆子を心から心配していることは火を見るよりも明らかだった。
「大丈夫よ、炭治郎。お館様一行を信じましょ?それに、あたし達が強くなって、禰豆子が見つかる前に無惨の野郎をぶっ潰せばいいのよ」
汐は両こぶしを握って力強く言った。あまりにも短絡的な思考に炭治郎は困惑するが、汐らしい言葉に安堵した。