第22章 遭遇<参>
「女性に年を聞くな無礼者!!!」
何度か突きを受け炭治郎がせき込む。汐も「今のは炭治郎が悪いよ!」と、彼を厳しく諫めた。
「愈史郎。次にその子を殴ったら許しませんよ」
一方珠世も暴力を振るった愈史郎を厳しく諫める。愈史郎はすぐさま姿勢を正すと、心の中で(怒った顔も美しい・・・)と呟いた。
「一つ、誤解しないでほしいのですが、私は鬼を増やそうとはしていません。不治の病や怪我を負って、余命いくばくもない人にしかその処置はしません。その際は必ず本人に、鬼となっても生きながらえたいか尋ねてから、します」
そんな珠世の眼を、汐はじっと見据える。炭治郎も目を閉じて、匂いをかぎ取る。
彼女の眼は、嘘偽りのないものであり、匂いも清らかなものであった。二人は確信した。この人は信用できる、と。
「珠世さん」炭治郎が膝の上で拳を作りながら、少し震える声で尋ねた。
「鬼になってしまった人を、人に戻す方法はありますか?」
炭治郎の核心をついた質問に、珠世はしばらく言葉を切った。それからそっと口を開く。
「鬼を人に戻す方法は――」