第22章 遭遇<参>
一方そのころ。別の場所では。
世闇に紛れて、鈴のような音があたりに響き渡る。その闇に浮かび上がるのは、二つの影。
一人は両手に目玉をつけた男の鬼で、目玉を地面に這わせるように動かしている。もう一人は幼い童女のような鬼で、男の鬼に何が見えるか聞いた。
「見える、見えるぞ足跡が。これじゃこれじゃ」
男の目には、普通の者には見えない何かが見えているようだった。
「あちらをぐるりと大回りして、四人になっておる。何か大きな箱も持っておる」
「どうやって殺そうかのぅ。うふふふ、力がみなぎる。今しがたあの御方に血を分けて戴いたからじゃ」
女の鬼は嬉しそうに笑いながら、毬をてんてんと何度もつく。つくたびに、鈴の音があたりに響き渡った。
「それはもう、残酷に殺してやろうぞ。あの御方のご命令通り、鬼狩りと青髪の娘の頸を持ってな・・・」
二人の残虐な笑みが、月の光に照らされ妖しく光る。脅威は、すぐそばまで迫っていることに、この時は誰一人として気が付いていなかった。