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【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第155章 真実(後編)<肆>


『まあ、それだけではなく君ともう一度会いたいという無意識の願いも、今の人格を形成しているのだろう。汐にとって君はそれ程、心に刻まれている存在ということだ』

炭治郎は青い顔のまま、透き通る床を見つめた。薄赤色の小さな魚が、ゆっくりと足元を泳いでいく。

『君が気に病む必要はない。これは為すべくしてなったことだ。それに、君がそんな顔をしていては、汐は今度こそ壊れてしまうぞ』
「!!」

炭治郎は顔を上げて番人を見つめた。心なしか、少し体が震えているようだ。

『そのために私は切り離されてここに居るんだ。だから、頼む。汐を、彼女の心を支えてくれ・・・!』

番人の放ったその言葉は、今までとは異なる心の声。それを聞いた瞬間、炭治郎は全てを察した。

この場所の事も、番人の事も。

「勿論だ。でも、それだけじゃない。俺が守りたいのは、君もだ」
『わ、私も?』

炭治郎の思わぬ言葉に、番人は面食らったのか声を上ずらせた。

「君とは初めてあった気がしないと思っていたんだけれど、ようやくそれが分かった。君はずっと、汐の心の一部として汐が汐でいられるように守ってきたんだろう?本当の汐の人格を宿して」

『・・・・』

番人は言葉を失いながら、炭治郎に顔を向けた。

「君が汐から切り離されたなら、君だって汐の一部だ。だから汐を守るなら、君だって勿論守る。汐も、もう一人の汐である君も」

――だって全部そろって汐じゃないか。
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