第155章 真実(後編)<肆>
「はっ!!」
意識を取り戻した炭治郎は、目を見開くと起き上がった。いつの間にか眠っていたようだった。
『思い出してくれたか?』
傍にいた番人が、炭治郎に優しく声を掛けた。
「あれは、間違いなく汐だった。雰囲気はいつもの汐じゃなかったけれど、汐だった・・・」
炭治郎は記憶をたどりながら、そう呟いた。
「でもおかしい。あの汐は俺よりも三歳か四歳くらい年上に見えた。俺と汐は一歳しか違わないはずだ。どういう事なんだ・・・?」
炭治郎は顎に手を当てながら考えるが、いくら考えても答えは出てこない。
そんな炭治郎を見かねてか、番人がそっと口を開いた。
『冷静に思い出してみるんだ。君はここに来る前に、汐からワダツミの子について詳しく聞いているはずだ』
番人の静かな声を聞き、炭治郎はいったん落ち着こうと深呼吸をした。
それから冷静に、汐の話を思い出してみた。
しばらく経った後、炭治郎は目を見開き口を開いた。
「まさか、まさかそんな・・・」
炭治郎は真っ青な顔で番人に向き合った。番人も、炭治郎の様子を見て察したようにうなずいた。
『どうやら気づいたようだな』
そういう番人の声は冷徹で、炭治郎の身体は震えた。