• テキストサイズ

【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第154章 真実(後編)<参>



(な、なんだ・・・?)

炭治郎は目の前の状況を理解しようとしたとき、左手に握られていた青い花弁が光り出した。
思わず視線を向けると、先ほどまで五枚あった花弁が一枚減っていた。

(まさか、場面が切り替わるたびに花弁が減っていくのか・・・?)

だとしたらあと四回。あの番人は炭治郎に見せたいものがあるということになる。
番人の意図が全く分からず混乱していると、目の前で誰かが動く気配がした。

意識を戻せば、聞こえてきたのは優しい歌。

『こんこん小山の子うさぎは、なぁぜにお目々が赤ぅござる』

炭治郎はこの歌を知っていた。いや、忘れるはずがなかった。

『小さい時に母さまが、赤い木の実を食べたゆえ、そーれでお目々が赤ぅござる』

それはかつて、禰豆子が鬼の力に飲まれそうになった時に決死の覚悟で歌った歌。
母が何度も歌っていた、子守唄だった。

炭治郎の視線の先には、幼い炭治郎の頭をなでながら歌を奏でる葵枝の姿があった。

記憶の中と同じ優しい母の歌に、炭治郎の目に涙が浮かぶ。

その時だった。

『それは、なんだ?』

不意に声が聞こえてきて、炭治郎と葵枝は顔を上げた。そこには、先ほどの青い髪の少女が葵枝を見つめていた。

どういうわけか、炭治郎の位置からは少女の顔は見えなかった。
/ 1491ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp