第154章 真実(後編)<参>
「!?」
少女を見て炭治郎は息をのんだ。青い髪をしているということは、汐と同じワダツミの子であることは間違いない。
だが、先ほど聞いた話では、ワダツミの子が現れるにはある程度の周期があったはずだ。
(まさかあれは汐なのか!?い、いやでも・・・)
炭治郎は改めて横たわる少女を見た。ざっとみても、少女は幼い炭治郎よりも年上に見えた。
汐と炭治郎の年齢差は殆どなかったはずだ。これでは計算が合わない。
炭治郎が首を捻る中、幼い炭治郎は横たわりか細い息をしている少女の手にそっと触れた。
その瞬間、弾かれるように手を放した。
少女の身体が、氷のように冷たかったからだ。
『!!』
幼い炭治郎には少女に何が起こっているかは分からない。だが、それでも身体が冷たい、寒いことは"よくない事"だとは分かっていた。
幼い炭治郎はもう一度少女の手を、今度はぎゅっと握った。冷たくて泣きそうになったが、それでも少女の手を離さなかった。
その後は葵枝と炭十郎が動き、男と少女は何とか一命をとりとめた。
その光景を炭治郎は、瞬きをすることも忘れてみていた。
すると突然、目の前の光景が急激に歪み、炭治郎は思わず目を抑えた。
瞬きをした後は、歪んだ光景が別のものに変わっていた。