第153章 真実(後編)<弐>
「ここ、は・・・?」
うっすらと明るい空間の中で、炭治郎は目を開けた。
鼻を掠める潮の香りと、水の音が耳を通り過ぎていく。
(汐の匂い?いや違う。これは、海の匂いか・・・?)
炭治郎は何故このような場所に居るのか分からず困惑するが、匂いと音のする方へと足を進めた。
少し歩いたところで、炭治郎は足を止めた。目の前に広がる光景に目を奪われたからだ。
そこは色とりどりのサンゴ礁や海藻が並び、たくさんの魚が泳ぎまわる不思議な光景だった。
まるで海の底のような景色に、炭治郎は呆然としていた。
すると、炭治郎から少し離れた場所に一つの扉がある事に気が付いた。
扉は鎖で縛られ、いくつかの鍵が付けられていた。だが、鎖の数にしては鍵の数が足りない気がする。
この景色に見合わない外見の扉に、炭治郎が近づこうとしたときだった。
『その扉には近寄らない方がいい』
静かな声がして振り返ると、そこには一人の小さな人影があった。
小さな子供の姿をした、ここの番人だった。