第153章 真実(後編)<弐>
(今も自分に対しての嫌悪感は消えないし、自分の運命が憎くてたまらない。でも、でもそれ以上にあたしは・・・)
――この男を、竈門炭治郎という男を、どうしようもなく愛してしまっているんだ・・・
(あたしはもう、炭治郎がいないと駄目みたい。この人がいない明日なんて考えられない。考えたくない・・・)
確かに感じる炭治郎の熱と鼓動を感じながら、汐の意識は深い闇の底に沈んでいった。
「・・・汐?」
炭治郎は嗚咽が聞こえなくなった汐の顔を、そっと覗き込んだ。
すると汐は、目を閉じて小さな寝息を立てていた。
余程疲れていたのだろう。起きる気配はなさそうだった。
ともかく汐をこのままにしては置けないと踏んだ炭治郎は、汐を起こさないように抱えると、広間をそっと後にした。
汐の寝室は、あまりものがなく殺風景なところだった。
ベッドに汐を寝かせ、炭治郎は一息をついた。
よく見れば汐の目の下のは隈があり、唇も少し乾いているようだった。
(汐・・・)
炭治郎は眠る汐を見つめながら目を閉じた。