第152章 真実(後編)<壱>
「っ!?」
炭治郎は汐を離すと、その顔を見た。目は相変わらず濁り切っているが、雰囲気が汐ではない。
目の前にいるのは、汐ではなかった。
「お前は、誰だ?」
警戒心をあらわにしながら尋ねると、汐の姿をした者は微かに笑みを浮かべながら言った。
「汐であって汐でない。"私"は君達がワダツミの子と呼んでいるものの一人、とでも言っておこう」
ワダツミの子はそういうと、光の無い目で炭治郎を見据えた。
「これから私が話すことは、とても信じがたいものだろう。でも、君が汐の事を案じているのなら、君は知らなければならない」
「知るって、何をだ?」
「全ての真実。ワダツミの子とは何か。何故このような者たちが存在しているのか」
ワダツミの子は大きく深呼吸をすると、徐に語りだした。