• テキストサイズ

【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第152章 真実(後編)<壱>


汐は懐剣を喉元に翳し突き立てようとしたが、切っ先は一向に動かない。
数秒の時間が空いた後、汐はそっと懐剣を下ろした。

「馬鹿だなぁ、あたし」

汐は懐剣を握りしめたまま、呟くように言った。

「今のあたしは死ににくくなってるし、こんなことしても次のワダツミの子が現れるだけ。何の意味も無いのに・・・」

汐は乾いた笑い声を上げながら、暗くなっていく窓を見上げた。
今は何時だろう。ここに戻ってからどれくらい経っただろう。

そんなことを考えていた時。遠くから自分の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。

「汐!!」

まるで水の底から響いてくるような声に、汐は僅かに首を傾げた。視界の端に、赤と緑色のものが見えたような気がした。

だがそれは、瞬時に汐の元に駆け寄ると、汐の手から懐剣を奪い遠くに放り投げた。

(あー、ずいぶん遠くまで飛ぶんだなぁ)

汐がぼんやりとそんなことを考えていると、突然肩に強い衝撃が走った。

そして次の瞬間に、部屋中に怒鳴り声が響いた。
/ 1491ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp