第152章 真実(後編)<壱>
「大丈夫か!?汐はどうしたんだ!?」
炭治郎が声を掛けた瞬間、鴉から焦りの匂いを感じた。
だが、炭治郎が反応するよりも早くソラノタユウがけたたましく鳴いた。
「カァ!カァ!助ケテ!助ケテ!!」
いつもの間延びした鳴き方ではない、切羽詰まった鳴き声に炭治郎の顔は青くなった。
「どうしたんだ!?まさか、汐に何かあったのか!?」
炭治郎が尋ねても、ソラノタユウは慌てたように羽ばたくだけで答えない。だがそれが、汐に何か良くないことが起きていることが伺えた。
「汐はどこにいるんだ!?」
その問いかけに鴉は「屋敷デス!汐ガ危ナイ!」と答えた。
炭治郎はすぐさま立ち上がると、義勇に謝罪しすぐさま屋敷を飛び出した。
「カァ!カァ!!コッチ、コッチデス!!」
ソラノタユウは叫びながら空から誘導し、炭治郎は見失わないように気をつけながらも全力で走った。
胸の中に吹き上がる嫌な予感を振り払うように抑えながら。
どのぐらい走ったか分からなくなるころ、炭治郎の眼前に汐の屋敷が見えてきた。
だが、その前にたどり着いた瞬間。炭治郎の鼻を酷い匂いが突き刺した。
(うっ、なんだ・・・!?)
炭治郎は思わず足を止め、口を手で覆った。
汐の屋敷から、絶望と喪失の匂いが漂ってくる。
いつもの汐なら、絶対にありえない匂いだった。
炭治郎はすぐさま、扉を突き破る様にして突入した。
「汐!何処だ!汐!!」
炭治郎は汐の名を何度も呼び、必死になって捜した。
そして、広間に続く襖を開けた時。
目に飛び込んできた光景に、炭治郎は言葉を失った。