第152章 真実(後編)<壱>
「悲鳴嶼さんに用事があるから先に行くようにって言われたんですけれど、いくら待っても来なくて・・・」
「今までも同じようなことはあったのか?」
「・・・・ありました」
炭治郎の言葉に、義勇は「あったのか」と小さく呟いた。
「で、でも!その時は嘘の匂いは全くしませんでしたし、もしかしてここに向かっている途中に何かあったのかもしれない・・・!」
炭治郎の胸の中に、嫌な予感が染みのように広がっていく。
「あのっ、俺、悲鳴嶼さんの所に行ってみます!もしかしたら何か知っているかも――」
炭治郎がそこまで言いかけた瞬間。とつぜん炭治郎の元に黒い何かが突っ込んできた。
炭治郎は慌てて避け、義勇は何事かと木刀を構えた。
黒い塊は炭治郎の傍をすり抜け、壁へと激突した。
「あれ、君は・・・」
激突したものを見て、炭治郎は目を見開いた。そこにいたのは、汐の鎹鴉のソラノタユウ。
「汐の・・・!」
炭治郎は慌てて、目を回している鴉に駆け寄った。