第152章 真実(後編)<壱>
時間は遡り。
汐と別れて一人義勇の屋敷に向かっていた炭治郎は、汐は勿論、様子がおかしかった善逸と、預けたままの禰豆子を心配していた。
だが、そんなことを考えていては訓練に支障が出ると思い、顔を叩いてその想いを無理やり払しょくした。
そして屋敷についた炭治郎は、義勇との稽古を始めた。
のだが
(汐が来ない・・・)
どれだけ待っても、義勇の屋敷に汐が現れることはなかった。
あと少し、あと少ししたら来るだろうと思いながら、もう数時間。
来る気配のない待ち人に、炭治郎は不安に思いつつも稽古に集中しようとした。
だが、
「訓練は中止だ」
突然、義勇がそう言って木刀を納めた。
「えっ、ど、どうしてですか?」
炭治郎が尋ね返すと、義勇は呆れた顔でため息をつきながら言った。
「さっきから全く集中できていない」
義勇の指摘に、炭治郎は観念したように木刀を下ろした。
「何があった?」
義勇が尋ねると、炭治郎は俯きながら汐とここに来る約束をしていたことを話した。