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【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第22章 遭遇<参>


その顔を見て二人の顔がさっと青くなる。無理もない。炭治郎はうどんを落としてしまったし、汐はそのまま放置して面が伸び切ってしまい、二人ともうどんを台無しにしてしまったのだ。

店主はがみがみと二人をしかりつける。その迫力に臆した炭治郎が、弁償しますと言った時だった。

「俺はな!!俺が言いたいのは金じゃねえんだ!!お前らが俺のうどんを食わねえって心づもりなのが許せねえのさ!!」
それから店主の目が、隣に座っている禰豆子に向けられる。

「お前もだ!まずはその竹を外せ!なんだその竹。箸を持て箸を!!」
まるで猪突猛進の獣の様にまくしたてる彼に、禰豆子はわけがわからないと言わんばかりに店主を見つめる。
そんな彼の背後に炭治郎が瞬時に移動し、「うどんをお願いします。二杯で!!」と言った。

「いいえ」その言葉を遮るものがいた。ずっと黙っていた汐だ。
彼女は凛とした表情で炭治郎を押しのけると、店主の目を見据えて言った。
「四杯よ」と。

その気迫に押された店主が、すぐさま山かけうどんを四杯、二人の前に並べた。そのうどんを、二人は目にもとまらぬ速さで食していく。

寸分の狂いもない程の二人の息があった食いっぷりに、唖然とする店主の前で、うどんは僅か数秒でなくなってしまった。

「「ごちそうさまでした!!!」」
綺麗に重なった二人の声に、店主は戸惑いながらも「毎度あり!!」と答えた。心なしか、その表情はやり切ったようなものをしていた。
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