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【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第3章 嵐の前の静けさ<弐>


汐は朝餉の後、玄海が動ける時間帯になるまで基礎訓練をすることにした。
準備運動をした後、まずは砂浜の上を走りこむ。動きづらい砂の上で動くことで、足に負荷をかけ筋力と体力を鍛える訓練だ。
始めは1時間走れば動けなくなった汐も、今や5時間程走っても平気になった。

走り始めてから数分後、ふとどこからか歌が聞こえる。花のような少女の歌声だ。それは、もうじき行われる祭りで歌う歌であった。

(絹、頑張って練習しているんだなぁ・・・、よし、あたしも負けてられないな!)
絹の歌声を聴いた汐は、気分を改め更に足を動かす。
すると

「汐兄ちゃーーん!!」と、どこからか子供の声がする。
汐が足を止めて振り返ると、砂浜で遊んでいる二人の少年の姿が目に入った。
2人とも、汐の近所に住む子供だった。
「誰が兄ちゃんだ!姉ちゃんだろ!?いい加減にしないと、海に投げ落とすからね!」
「ちょっとした冗談だよ~!むきになるなよ~」
「まあいいけど。で、どうしたのあんたたち、こんなところで」

汐が訪ねると、二人は鯨岩の入り江に宝探しに行こうと言い出した。
あの入り江の底には、とてつもない宝物が眠っているらしく、それを探し当てたいのだそうだ。
しかし宝は海の底にあるらしく、まだ潜るのが拙い二人はそれが不可能なため汐に確かめてほしいとのことだった。

「宝物ねぇ。その話は知ってるけど、あたしには無理だよ」
「え?なんでさ!姉ちゃんすごく長く潜れるじゃないか!」
「あそこはとんでもなく深いんだ。あたしも一回潜ってみたけど、深すぎて息が続かなかった。だから無理。潜るなら深海魚にでもなるしかないね」

汐の言葉に、二人は残念そうに舌打ちをした。
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