第149章 真実(前編)<弐>
すると悲鳴嶼はすっと腰を落とすと、その大きな手で二人の頭を優しくなでた。
そこにあったのは、鬼を屠る手ではなく、優しい父親のような温かいものだった。
(おやっさん・・・)
汐は昔、訓練で成果を上げた時にこうして玄海に撫でてもらったことを思い出した。
そのせいか。汐の目から涙の雫がぽろりと零れ落ちる。
炭治郎も目に涙を浮かべながらも、嬉しそうに顔をほころばせた。
それを感じた悲鳴嶼は、沙代の温かさと笑い声を思い出していた。
「私の訓練は完了した・・・、二人とも、よくやり遂げたな・・・」
悲鳴嶼の柔らかな声が、二人の耳に入り心を温めて行く。
と、その時。
二人の腹が、大きな音を立てて鳴いた。
「「あ・・・」」
汐と炭治郎は顔を見合わせると、途端に顔を赤くした。