第149章 真実(前編)<弐>
「だ、大丈夫か?」
その声に汐が意識を向けると、目の前に誰かの手が差し出されている。
極限状態の汐は、迷いなくその手を取った。
「あ、あり、ありが、と」
汐は荒い息をつきながら顔を上げて、そして固まった。
そこにいたのは、炭治郎だったからだ。
それを見た汐は瞬時に石のように固まり、鼻から冷たい雫が零れ落ちた。
そして、
「○✖△□※~~~!!!」
汐は声にならない悲鳴を上げると、瞬時に起き上がり炭治郎を思い切り殴り飛ばした。
「うぼぁ!!」
炭治郎はくぐもった声をあげながら、成す術もなく吹き飛んでいく。
「な、なんで・・・」
その言葉を最後に、炭治郎は意識を手放した。
「もうお嫁に行けなぁあああい!!」
汐は頭を振りながら、顔を両手で覆って泣き崩れた。
結局悲鳴嶼が汐を落ち着かせるまで、この騒ぎは続いたのだった。