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【鬼滅の刃】ウタカタノ花

第21章 遭遇<弐>


彼女の言葉を聞いて二人は混乱した。

鬼である彼女が、鬼舞辻を消したいと思っている?

どういうことなんだと考える間もなく、女性の鬼は炭治郎の下でうめいている男に近寄った。すると不思議なことに、あれほど苦しんでいた男の動きが鈍くなった。

それを見計らってか、少年が素早く駆け寄り取り押さえる。それから傷を負った彼の妻を見ていった。

「あの方の手当ては私がしましょう。預けていただいてもよろしいでしょうか?」
汐と炭治郎は顔を合わせると、同時にうなずいた。医者だといった彼女に預けたほうが確実だ。

「どうかお願いします。それから、助けてくださってありがとうございました。俺は竈門炭治郎といいます。そして彼女が」
「自分で名乗るわ。あたしは大海原汐。あたしからも礼を言わせて。本当にありがとう」

汐が名を名乗った瞬間。二人の目が見開かれる。だが、汐はそれに気づく前にあることを思い出して声を上げた。

「ああーーーっ!!大変!あたし禰豆子を置き去りにしてきちゃった!」
「な、なんだってー!?そりゃ大変だ!急いで戻らないと!すみません二人とも。俺たちは行きます。その人たちをお願いします!!」

そう言って汐と炭治郎は踵を返して屋台のところへ戻っていった。そんな二人を鬼の二人は見ていたが、少年の鬼が女性に何か耳打ちをする。

「ええ、そうね。もしかしたら彼女はあの方の、大海原玄海さんの娘さんである可能性がある。だとしたら、これが運命というものなのかしら」

女性の鬼の悲しげなつぶやきが、少年の鬼の耳に届いた。
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